今回ご紹介する漫画は『ランダム・ウォーク』
この記事を読むと、『ランダム・ウォーク』がなぜ「王道の少女漫画」から意図的に外れ、共感しづらい主人公と奔放な恋愛を真正面から描いた作品なのかがわかります。
「いい女になること」を目標に掲げた主人公・優架の恋愛遍歴が、なぜ爽快ではなく、時に不快ですらあるのか。
それでも物語として成立してしまう理由はどこにあるのか。
本記事では、恋愛シミュレーションのように見える構造、りぼん連載作としては異質な人物配置、そして終盤で明かされる“仕掛け”までを整理し、『ランダム・ウォーク』という作品の立ち位置を冷静に読み解きます。
『ランダム・ウォーク』ってどんな漫画?
『ランダム・ウォーク』は、「いい女になること」を人生目標に掲げる女子高生・国友優架を主人公にした恋愛漫画である。
物語は、一人の相手と関係を深めていく王道型ではない。
優架は次々と異なるタイプの男性と付き合い、別れ、また次へ進む。
その構造は、恋愛漫画というよりも、複数ルートを並行で踏ませる恋愛ゲームに近い。
さらに特徴的なのは、主人公だけでなく、親友・塔子も含めて「恋愛に奔放な人物」として描かれている点だ。
どちらか一方を“常識側”に置く逃げ道は用意されていない。
その一方で、桂や涼子といったサイドキャラクターには、いかにも少女漫画的な純度の高い恋愛が与えられている。
王道を否定するのではなく、あえて脇に置く構成だ。
結果として本作は、読者が主人公に感情移入することを前提にしない、かなり攻めた恋愛漫画になっている。
作品情報
| 作品名 | ランダム・ウォーク |
| 作者 | 吉住渉 |
| 巻数 | 全3巻 |
| ジャンル | 恋愛/浮気 |
| 掲載誌 | りぼん(2007年7月号 – 2001年9月号) |
「王道を外し続ける恋愛観――『ランダム・ウォーク』が描いた“少女漫画の裏側”」
恋愛シミュレーションの皮をかぶった、奔放すぎる主人公と親友
『ランダム・ウォーク』は、主人公・国友優架が「いい女になること」を目標に掲げ、その過程で恋愛を繰り返していく作品である。
まず強いのは、恋愛の手触りが「ひとりの相手と関係を育てる」よりも、「候補が次々に現れ、選択と別れが繰り返される」構造になっている点だ。
読者は物語を追うというより、恋愛の分岐を眺めていく感覚に近い。
優架の周囲には複数の男性が登場し、恋愛の相手が固定されない。
広貴、輝、望、海斗、十和といった名前を並べるだけで、作品がどれだけ“恋愛の数”で勝負しているかが見えてくる。しかもこの作品は、主人公だけが奔放なのではない。
親友の塔子もまた、特定の相手に落ち着くタイプではなく、恋愛そのものを日常の延長として扱う側の人物である。
つまり、読者が寄りかかれる「常識役」が最初から薄い。
そこが本作の入口の読みにくさでもあり、同時に独自性でもある。
この二人の描き方は、王道の少女漫画の「共感できる主人公」「読者が応援したくなる恋」とは真逆を向いている。
読んでいて気持ちよく感情移入させるのではなく、まず読者に「この子、合わないかもしれない」という違和感を渡してくる。
だが、その違和感こそが作品の核だ。
作者は最初から優架と塔子を“理想のヒロイン像”としては置いていない。
むしろ、恋愛に対して軽やかで無防備で、時に不誠実にも見える二人を、真正面から主人公側に据えたところに狙いがある。
さらに興味深いのは、本作が「複数の男の子から一途に想われる主人公」というテンプレを避けている点である。
優架は色々な相手と付き合うが、恋愛が必ずしも成功体験として積み上がっていくわけではない。
別の女の子に目移りされて振られる展開が繰り返されることもあり、恋愛が“勝ち上がり”になっていない。
ここで描かれているのは、憧れの恋ではなく、感情の揺れや未熟さや身勝手さを含んだ、いびつな恋の連続である。
つまり『ランダム・ウォーク』は、恋愛を美化せず、主人公と親友の“奔放さ”を物語の推進力にしている作品である。王道に飽きた人には刺激がある一方で、王道を求める人には最初がかなりきつい。
だが、その「きつさ」を引き受けてでも描きたかったものがある。
その気配が、1巻の序盤からずっと漂っている。
読み進めるほど評価が反転するキャラクター配置と、「りぼん」との距離感
『ランダム・ウォーク』の読書体験で特徴的なのは、キャラクターに対する印象が時間とともに大きく反転していく点である。
とくに主人公・優架と親友・塔子は、序盤ではかなり強い拒否反応を招く存在として描かれている。
高校入学と同時に一人暮らしを始め、恋愛に対して軽く、相手を取っ替え引っ替えする姿は、共感どころか反感を生みやすい。
設定だけを見ると、わざと鼻につくように作られていると感じる読者も多いだろう。
だが、この“嫌われやすさ”は計算された配置だと読んでいくうちに分かってくる。
物語が進むにつれて、優架と塔子は決して恋愛強者でも勝者でもないことが明確になる。
色々な相手と付き合っても、安定した関係には至らず、簡単に捨てられ、簡単に傷つく。
少女漫画にありがちな「可愛いけど地味な主人公がなぜかモテ続ける構図」は、ここには存在しない。
むしろ恋愛のたびに、自己評価をすり減らしていく姿が描かれていく。
この構造は、掲載誌が「りぼん」であることを考えると、かなり踏み込んだ選択である。
りぼんは伝統的に、読者が感情移入しやすい主人公像、安心して応援できる恋愛を主軸にしてきた雑誌だ。
その文脈で見ると、優架と塔子はあまりにも読者に厳しい。
実際、「りぼんで連載して良かったのか?」という疑問が浮かぶのは自然だと思う。
ただし、本作は単に編集方針と噛み合っていなかった、で切れる話ではない。
作者は、王道の少女漫画を描けないからこうしたのではなく、あえて王道を外している。
共感されやすい主人公を置かず、最初は嫌われてもいい人物を中心に据える。
その代わり、桂や涼子といったサイドキャラクターで、いかにも少女漫画的な「正しい可愛さ」「正しい恋」を丁寧に描いている。
この配置によって、王道と邪道が同時に存在する構造が生まれている。
つまり本作は、雑誌カラーに反発した作品というより、雑誌の中で“ズレた座標”をあえて作った作品だと言える。
読者が不快に感じるポイントをあらかじめ提示し、その後で少しずつ評価を揺さぶる。
第一印象が最悪だからこそ、後半での感情の変化がはっきりと自覚できる。
序盤を越えたあたりから、優架と塔子が「嫌なキャラ」から「厄介だけど目が離せない存在」に変わっていく感覚は、この作品ならではの読み味である。
強調したいのは、キャラクターの好感度を即座に取りに行かない姿勢そのものだ。
『ランダム・ウォーク』は、少女漫画としてはかなり不親切で、だからこそ印象に残る。
「りぼん」という場に置かれたことで違和感は強まったが、その違和感が作品の芯を浮かび上がらせてもいる。
ここをどう受け取るかで、本作の評価は大きく分かれる。
最後にすべてをひっくり返す男・ヒロという存在
『ランダム・ウォーク』を語る上で、どうしても外せない人物がいる。
それがヒロだ。
正直に言えば、初読ではほとんど印象に残らない。
キャラデザインは地味で、序盤から中盤にかけて物語の中心にも立たない。
強烈な個性もなければ、わかりやすい役割も与えられていない。
読者の記憶から自然に抜け落ちていくタイプのキャラクターである。
だからこそ、ここでは「驚き」を主軸に語らざるを得ない。
物語の終盤で明かされる事実──ヒロが優架の“最初の彼氏”だったという設定は、それまでの読みを根底から揺さぶる。
さらに追い打ちをかけるように、塔子もまたヒロのことを好きだったと判明する。
この二段構えの情報開示は、当時リアルタイムで読んでいた読者ほど衝撃が大きかったはずだ。
なぜならヒロは、作中で「恋愛の主役」らしい振る舞いを一切していないからだ。
派手な告白も、感情的な修羅場もなく、優架の恋愛遍歴の中でも明確な山場を持たない。
それなのに、物語を俯瞰すると、ヒロは最初から最後まで“静かに全員の感情をかき乱していた男”だったことがわかる。
ヒロはモテる男として描かれていない。むしろ本人に自覚のない、ナチュラルな引力を持つタイプだ。
その無自覚さが、優架と塔子の両方にとって致命的だった。
意図せず好意を集め、意図せず関係を壊す。
恋愛における「一番たちの悪い存在」を、極端な演出なしで成立させている点が巧妙である。
この構造が恐ろしいのは、ヒロが最後まで“悪者”にならないことだ。
読者は怒ることもできず、断罪もできない。ただ、「そういう男が確かにいた」と理解させられる。
優架や塔子の奔放さや未熟さばかりを見ていた視線が、ここで一気に反転する。
問題は彼女たちだけではなかったのだ、と。
ヒロの存在は、『ランダム・ウォーク』という作品全体の評価を決定づけている。
序盤では恋愛群像の一部に過ぎなかった物語が、終盤で「記憶と感情の読み替え」を要求してくる。
その起点がヒロである。
だからこの作品は、読み終えたあとに1巻へ戻ることを前提に作られていると言っていい。
派手な仕掛けはない。だが、地味だからこそ効く。
ヒロはこの作品の中で、もっとも静かで、もっとも残酷な爆弾だ。
『ランダム・ウォーク』驚きで終わるのではなく、読み返しを促すために存在している。
ここに気づいた瞬間、『ランダム・ウォーク』は単なる恋愛漫画ではなくなる。
作品に興味を持った方は、こちらから電子版を確認してみてください。
中の人のあとがき
漫画の旅人設定について。
『ママレード・ボーイ』で味を占めたのか。
以降の作品では変わった家族構成を使いたがる。
二番煎じだし意外性もないので、吉住先生には別の武器を身に着けてほしい。
あだち充先生の作品の主要キャラが絶対に死ぬ設定と同じくらいこすってくる。
優架の5番目の男。十和が一途すぎて乙女チック。
『ランダム・ウォーク』は登場キャラの性別が逆になっている方が、王道の少女漫画になりそうで興味深い。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事が『ランダム・ウォーク』に興味を持つきっかけになれば幸いです。








『四重奏ゲーム』
初の連載作品。
『ハンサムな彼女』
吉住渉先生の代表作の一つ。
『ママレード・ボーイ』
吉住渉先生の代表作の一つ。
『君しかいらない』
男子高校生が主人公の作品。
『ミントな僕ら』
男子中学生が主人公の作品。
前作『君しかいらない』と同一世界線。
『ランダム・ウォーク』
ヒロインの相手役がコロコロ変わる少女漫画では珍しい設定の作品。
『ウルトラマニアック』
魔法少女作品。
『だって好きなんだもん』
「りぼん」本誌での最後の連載作品。
『P×P』
怪盗少女作品。
『チェリッシュ』
「コーラス」に掲載された最初の作品。
『スパイシーピンク』
少女漫画家が主人公の作品。
『カプチーノ』
同性カップルのドタバタ劇を描くストーリー。
『ちとせetc.』
久々の少女漫画誌による作品。
『ママレード・ボーイ little』
『ママレード・ボーイ』の続編。
『キャラメル シナモン ポップコーン』
社会人のラブストーリー。
『ママレード・ボーイ』
1994年に放映されたアニメ作品。
『劇場版 ママレード・ボーイ』
1995年の劇場版アニメ作品。
『ママレード・ボーイ』
2018年に放映された実写映画作品。





電子書籍は以下のサイトならお得に楽しめます!
📚 DMMブックス・U-NEXT・まんが王国・BOOK☆WALKER等。
初回特典やキャンペーンを使えば、気になる漫画をお得に楽しめます✨
気になったサービスでぜひチェックしてみてください!
「それではまた次の“漫画の旅”でお会いしましょう📚✨」
各ストアで電子書籍がお得に読めるクーポン配布中!
以下の電子書籍ストアの初回限定特典で漫画がお得に読めます。
※ただし電子書籍ストアは時期によって割引やキャンペーンが変わるため、「今一番お得なサービス」を選んで読むのがおすすめです!
▶DMMブックス
(初回購入限定70%OFFクーポンがお得!)
▶U-NEXT<ユーネクスト>
(無料トライアルで600円分のポイントもらえる!)
▶BOOK☆WALKER
(初回購入限定!購入金額の50%コイン還元!)
▶まんが王国
(毎日最大ポイント50%還元!)
▶ブックライブ
(新規会員限定70%OFFクーポンがお得!)
▶コミック.jp 1000コース
(お試し期間中に1200円分のポイントもらえる!)
▶Amebaマンガ
(全マンガ100冊50%ポイント還元!)
※クーポン内容等は予告なく変更・終了する場合がございます。最新の情報は各公式サイトでご確認をお願いいたします。
📖 まだ電子書籍サービスを決めていない方はこちらの記事をどうぞ。
👉【電子書籍の購入はどこがいい?おすすめ電子書籍サービス6選!】
