『ミントな僕ら』はなぜ共感できなかったのか─少女漫画の枠からはみ出した実験作を再読する

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今日ご紹介する漫画は『ミントな僕ら

『ミントな僕ら』は、当時の少女漫画としてはあまりにも異質な作品だった。
女装、シスコン、恋愛妨害、そして感情移入しづらい主人公とヒロイン。
リアルタイムで読んでいたとき、なぜ自分はこの物語に入り込めなかったのか。

この記事では『ミントな僕ら』を、懐かしさや思い出補正ではなく、設定・キャラクター・時代性の三点から冷静に分析する。
問題作だったのか、それとも時代を先取りしすぎただけの挑戦作だったのか。
その答えが見えてくる構成になっている。

目次

『ミントな僕ら』ってどんな漫画?

双子の姉・まりあを追いかけるため、弟ののえるが女装して名門・森ノ宮学園へ転入するところから始まる学園ラブコメディ。
女装がバレれば即退学という制約の中で、恋愛・友情・家族関係が入り乱れる。

一見すると明るくドタバタした少女漫画だが、内側にはかなり歪んだ欲望と関係性が詰め込まれている。
その歪さこそが、本作を語るうえで避けて通れない要素である。

作品名ミントな僕ら
作者吉住渉
巻数全6巻
ジャンルラブコメ/恋愛/女装
掲載誌りぼん(1997年6月号 – 2000年2月号)

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少女漫画の皮をかぶった問題作「共感できない」から始まる再評価

女装ラブコメという異物感──少女漫画らしくなさすぎる主人公・のえる

『ミントな僕ら』の最大の特徴は、設定そのものの強さにある。
双子の姉を追って弟が女装し、学園生活を送る。
発想だけを見れば非常にキャッチーだ。

しかし、問題はその動機にある。
のえるは恋のためでも、自分の人生のためでもなく、「姉を独占したい」という欲望から転校し、女装し、他人の恋路を妨害する。

この欲望は一貫しており、だからこそ読者は距離を取らされる。
のえるは悩まない。葛藤しない。反省もしない。
ただひたすら、自分の都合で周囲を引っかき回す。

女装という行為自体が問題なのではない。
問題なのは、それが他者への配慮を欠いた欲望の道具として使われている点だ。

当時中学生だった自分は感情移入できなかった。
のえるは「理解できない存在」ではなく、「理解したくない存在」として描かれているからだ。

恋多きヒロインは許されるのか──まりあというキャラクターの違和感

感情移入を阻むもう一人の要因が、姉のまりあである。
まりあは作中で複数の相手と恋を重ねていく、いわば“恋多きキャラクター”だ。

問題は、それが準主人公ポジションで描かれている点にある。
物語を引っ張る立場にいるキャラが恋愛に対して一貫性を持たないと、読者は判断基準を失う。

のえるが他人の恋を壊し、まりあがそれを半ば容認する。
この構図が続くことで、物語全体が「誰の恋も応援できない」状態に陥ってしまう。

一方で、佐々、未有、可南子、果林、理々子といった脇役たちは驚くほど一途に描かれている。
この対比は意図的だろう。

後年の『ランダム・ウォーク』では、まりあの性質をさらに強めた主人公が登場する。
つまり『ミントな僕ら』は、吉住渉が“王道から外れる実験”を始めた起点でもあった。

それでも記憶に残る理由──時代と噛み合わなかった挑戦作としての『ミントな僕ら』

『ミントな僕ら』は、少女漫画の「共感」をあえて裏切った。
善悪を曖昧にし、感情移入を拒み、読者を突き放した。

だからこそ、忘れられない。
のえるの気持ち悪さも、まりあへの苛立ちも、当時感じた違和感そのものが記憶に残っている。

少女漫画は本来、成長と純粋さの物語だ。
その王道を知り尽くした作家が、あえてそこから外れた。

結果として、多くの読者と噛み合わなかった。
だがそれは、挑戦した証でもある。

『ミントな僕ら』は、好きになれなくても語ってしまう作品だ。
それ自体が、この漫画の価値なのだと思う。

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中の人のあとがき

漫画の旅人

双子の姉を追ってシスコンの弟が女装して学校生活を送るドタバタラブコメディ。
少女漫画っぽくないテーマ。
女装を知っているのは家族と理事長の限られた人物だけ。
女装を隠しつつ恋に友情に色々ある学園生活。
そして徐々に正体がバレてきて…

当時自分がリアルタイムで読んでいた時、中学1,2年生だった。
年齢層は同じだったけれど、ぶっとんだ設定にいまいち感情移入は出来なかった。
感情移入できない理由の一つとしては、のえるのキャラクターにある。
自身の姉を独り占めしたいという欲望で転校。女装。デート中の妨害。
のえるのキャラクターが気持ち悪すぎる。
その後未有に惚れるけれど未有へのアプローチ方法も気持ち悪い。
女装した姿じゃ堂々と告白できないから従妹のふりをしてアプローチする。
本当に好きな子にするアプローチとは思えない。
まりあもノリノリですすめている所も全く援護できない。
自分の恋のために散々邪魔をしてきたまりあに頼むのも腹が立つ。

まりあのキャラクターも感情移入できない理由の一つ。
まりあは作中で和陽→良陽→大輔→佐々と恋をしていく。
準主人公がビッチ恋多きポジションだと厳しい。
次回作『ランダム・ウォーク』では、まりあのキャラクターをもっと強めにした主人公が出てしまうのだけれど…
反面、佐々、未有、可南子、果林、理々子は一途で好感が持てた。
やっぱり少女漫画のキャラクターは一途じゃないと。
大人になるにつれて崩れていくんだから少女漫画だけでもピュアでいて欲しい。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事が『ミントな僕ら』に興味を持つきっかけになれば幸いです。

関連作品

『四重奏ゲーム』
初の連載作品。

『ハンサムな彼女』
吉住渉先生の代表作の一つ。

『ママレード・ボーイ』
吉住渉先生の代表作の一つ。

『君しかいらない』
男子高校生が主人公の作品。

『ミントな僕ら』
男子中学生が主人公の作品。
前作『君しかいらない』と同一世界線。

『ランダム・ウォーク』
ヒロインの相手役がコロコロ変わる少女漫画では珍しい設定の作品。

『ウルトラマニアック』
魔法少女作品。

『だって好きなんだもん』
「りぼん」本誌での最後の連載作品。

『P×P』
怪盗少女作品。

『チェリッシュ』
「コーラス」に掲載された最初の作品。

『スパイシーピンク』
少女漫画家が主人公の作品。

『カプチーノ』
同性カップルのドタバタ劇を描くストーリー。

『ちとせetc.』
久々の少女漫画誌による作品。

『ママレード・ボーイ little』
『ママレード・ボーイ』の続編。

『キャラメル シナモン ポップコーン』
社会人のラブストーリー。

『ママレード・ボーイ』
1994年に放映されたアニメ作品。

『劇場版 ママレード・ボーイ』
1995年の劇場版アニメ作品。

『ママレード・ボーイ』
2018年に放映された実写映画作品。

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