今回ご紹介する漫画は『ドラゴンボール アニメコミックス 4 最強への道』
『ドラゴンボール アニメコミックス4 最強への道』は、「最新技術でドラゴンボールをリメイクする」という明確なコンセプトのもと制作された作品だ。
しかし実際に読んでみると、どこか噛み合っていない印象を受けた人も多いのではないだろうか。
キャラクターの描写に違和感があり、出るべき人物が不在で、物語は駆け足のまま終わってしまう。
なぜこの作品は、素材が最高級であるにもかかわらず、評価が伸びなかったのか。
この記事では『ドラゴンボール アニメコミックス4 最強への道』について、
「キャラ設定」「登場人物」「構成」という三つの観点から、原作ファン目線で“なぜ面白くなりきれなかったのか”を整理していく。
『ドラゴンボール アニメコミックス 4 最強への道』ってどんな漫画?
劇場版アニメ『ドラゴンボール 最強への道』を、アニメの映像をもとに漫画形式へ再構成したのが『ドラゴンボール アニメコミックス4 最強への道』である。
本作は
・『ドラゴンボール』
・『ドラゴンボールZ』
この二つを融合させ、「少年編を現代的な演出で再構築する」ことを目的として制作された。
悟空とブルマの出会い、レッドリボン軍との戦いといった原作初期の要素を軸にしつつ、
バトル演出や作画はZ以降の雰囲気に寄せられているのが特徴だ。
原作コミックス1巻〜8巻付近のエピソードをベースにしながらも、
物語は大幅に再編集され、一本の映画作品としてまとめられている。
コンセプトだけを見ると、原作ファンにとって魅力的に映る試みであることは間違いない。
しかし、その再構成の過程で多くの歪みが生まれてしまったのが、本作の最大の問題点である。
| 作品名 | ドラゴンボール 最強への道 |
| 作者 | 原作/鳥山明 制作会社/東映アニメーション |
| 巻数 | 全1巻 |
| ジャンル | 冒険/ファンタジー |
| 映画 | 1996年3月2日 |
なぜ『最強への道』は“リメイク作品”として失敗したのか
キャラ設定の改変が原作理解を壊している
『ドラゴンボール アニメコミックス 4 最強への道』が原作ファンに受け入れられなかった最大の理由は、物語そのものよりもキャラクター設定の扱い方にある。
本作は「原作の再構成」を掲げているが、実際に行われているのは整理ではなく改変だ。
その改変が『ドラゴンボール』という作品が長年積み上げてきた設定を破壊している。
まず象徴的なのが、ホワイト将軍やメタリック軍曹の扱いである。
ホワイト将軍は「誰だよお前」と言いたくなるほど原型を留めておらず、キャラクターとしての記号性が失われている。
メタリック軍曹に至っては、原作では悟空を呆れさせる強さを持った存在だったにもかかわらず、外見がブラック参謀に寄せられ、なおかつ尺の都合ですぐに退場させられる。
さらに致命的なのがハッチャン(人造人間8号)の改変だ。
原作のハッチャンは、臆病で争いを嫌い、人を傷つけることを何より恐れる存在だった。
その彼が一時的とはいえ悟空を襲う展開には、どうしても違和感が残る。
これは「盛り上げるための一時的な対立」という演出の問題ではなく、キャラクターの核を無視している点が問題なのだ。
呼称の違和感も無視できない。
原作でハッチャンは悟空を一貫して「ソンゴクウ」とフルネームで呼んでいた。
それは彼の不器用さや、距離感の取り方を表す大切な要素だった。
それを安易に「悟空」と呼ばせることで、キャラクターの個性が薄まってしまっている。
戦闘描写も同様だ。
亀仙人がかめはめ波一発でエネルギー切れを起こす描写は、弱体化させすぎである。
一方で悟空のかめはめ波は過剰に強調され、原作初期の「工夫と知恵で戦う少年悟空」の魅力が削がれている。
力のバランスが極端に振れた結果、成長の過程が感じられなくなっている。
ブルー将軍の扱いも不可解だ。
原作では超能力という明確な強みを持ち、一般兵やブラック参謀とは格の違う存在だった。
それにもかかわらず本作では能力が削除され、一般兵に捕らえられて処刑される展開が描かれる。
設定上、明らかに整合性が取れていない。
ブルー将軍は桃白白とセットでこそ機能するキャラクターであり、単体で雑に処理してよい存在ではない。
極めつけは、ハッチャン破壊後の“気の解放”演出だ。
超サイヤ人を想起させる演出が挿入されるが、この時期の悟空にそのような描写は存在しない。
盛り上げたい意図は理解できるが、時代を無視した演出は原作ファンへの裏切りに近い。
総じて本作は、「今のドラゴンボール像」を初期悟空編に無理やり当てはめてしまった作品だと言える。
最新技術や派手な演出よりも、本来必要だったのは原作キャラクターへの理解と敬意だった。
その欠如こそが、『最強への道』が違和感の塊になってしまった最大の原因である。
出るべきキャラが出ていないという致命的欠落
『ドラゴンボール アニメコミックス 4 最強への道』のもう一つの大きな問題は、物語上・感情上ともに「絶対に必要なキャラクター」が欠落している点にある。
これは単なる出演人数の問題ではなく、ドラゴンボール初期を支えていた関係性そのものが削ぎ落とされている、という構造的な欠陥だ。
まず真っ先に挙げるべきは、チチと牛魔王が登場しない点である。
少年悟空編において、チチと牛魔王は単なるサブキャラではない。
チチは悟空の「将来の奥さん」、牛魔王は「悟空の育ての親の弟弟子」だ。
彼らがいないことで、悟空の世界は極端に戦闘寄りになり、原作初期にあった牧歌的な温度が完全に失われている。
次に致命的なのが、クリリン不在である。
これはもう擁護が難しいレベルの欠落だ。
少年悟空にとってクリリンは、修行仲間であり、親友であり、競争相手でもある。
その存在を丸ごと削除してしまうことで、悟空は「孤高の主人公」に変質してしまっている。
原作初期の悟空は、決して一人で完結するキャラクターではない。
誰かと一緒に笑い、競い、時に失敗することで魅力を放っていた。
クリリン不在の悟空は、強さだけが前に出た平板な存在になってしまう。
そして、ムラサキ曹長が登場しない点も見逃せない。
マッスルタワー編と聞いて、多くの読者が真っ先に思い浮かべるのはムラサキ曹長だろう。
あの異様なまでに印象に残るキャラクターを外す判断は、センスの問題と言わざるを得ない。
ムラサキ曹長は戦闘力的には強くない。
だが、ギャグと不気味さを同時に成立させる存在として、ドラゴンボール初期の空気感を体現していた。
彼を排除した結果、マッスルタワーは単なる「敵拠点」に成り下がり、原作特有の緩急が完全に失われている。
本作は「再構成」を掲げながら、なぜか印象に残るキャラほど削り、説明しやすい要素だけを残す方向に舵を切っている。
その結果、ドラゴンボールという作品が本来持っていた「キャラの集合体としての面白さ」が崩壊してしまった。
重要なのは、出ていないキャラが「人気だから必要」なのではない、という点だ。
彼らは物語の流れ、感情の起伏、世界観の厚みを支えるために“必須”だった。
それを理解せずに整理した結果が、『最強への道』の薄っぺらさにつながっている。
そもそも詰め込みすぎて尺が足りていないという構造的失敗
『ドラゴンボール アニメコミックス 4 最強への道』が根本的に抱えている最大の問題は、やろうとしていることに対して、尺が決定的に足りていない点にある。
これは演出や好みの問題ではなく、構成そのものの破綻だ。
本作は「少年編ドラゴンボール」と「ドラゴンボールZ」の要素を融合させる、という明確なコンセプトを掲げている。
悟空とブルマの出会い、レッドリボン軍、そしてZ的なバトル演出。
やりたいこと自体は理解できるし、企画としてはむしろ魅力的ですらある。
問題は、それらを一本の作品に無理やり押し込んでしまったことにある。
レッドリボン軍を絡めるには、キャラクター紹介、組織の異常性、各幹部とのやり取りが必要になる。
それだけで一本作れるほどのボリュームだ。
にもかかわらず本作では、それらが断片的に消化され、物語としての積み重ねがほぼ存在しない。
対照的なのが、
『神龍の伝説』
『魔神城のねむり姫』
『摩訶不思議大冒険』
といった初期劇場版作品群である。
これらは原作連載中という大きな制約の中で制作されていたにもかかわらず、「原作の流れをくみつつ、一本の映画として成立する物語」を丁寧に構築していた。
限られた尺の中で、起承転結を成立させる工夫が随所に見られる。
一方『最強への道』は、連載終了後という“最も構成を組みやすい環境”で作られている。
それにもかかわらず、場面転換は早く、感情の溜めもなく、出来事だけが連続していく。
結果、どのシーンも印象に残らない。
特に顕著なのが、悟空の成長や心情変化が描かれない点だ。
戦闘は派手になり、演出もZ寄りに強化されているが、
それを支える内面描写が追いついていないため、ただの映像的消費に終わっている。
これは「詰め込みすぎ」の典型例である。
素材は最高級。
だが、調理工程を省きすぎた結果、味が分からなくなってしまった。
『ドラゴンボール』という看板があるから成立しているだけで、冷静に一本の作品として見ると、構成はかなり粗い。
「最新技術でリメイクする」というコンセプトに引っ張られすぎて、物語を作るという基本が後回しになってしまった印象は否めない。
結果として本作は、『ドラゴンボール』の魅力を凝縮した作品でもなく、少年編の再解釈としても、Z的バトル映画としても中途半端な位置に着地してしまった。
続編が制作されなかったのも、正直なところ納得できてしまう出来である。
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なお『ドラゴンボール 最強への道』は、テレビ放送用ではなく劇場用アニメとして制作された作品である。
原作序盤のエピソードを再構成した内容になっており、キャラクター設定や展開が整理される一方で、物語のテンポとアクション性が強く前面に出た構成になっている。
漫画版では積み重ねとして描かれていた出会いや成長を、アニメでは一本の冒険譚としてまとめて体感できる点が大きな特徴だ。
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中の人のあとがき
漫画の旅人『ドラゴンボール』と『ドラゴンボールZ』の融合。
「最新の技術で『ドラゴンボール』をリメイクする」というコンセプトで制作された本作。
続編が制作されなかったのも納得の出来である。
ただ鳥山先生監修の【ドラゴンボール超】の出来を見るとこの頃の製作者の方を責めることは出来ないかもしれない。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事が『『ドラゴンボール アニメコミックス 4 最強への道』』に興味を持つきっかけになれば幸いです。
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それではまた次の記事でお会いしましょう。






ドラゴンボール
1986年のアニメ作品。マジュニアとの決着、アニオリとしてチチとの結婚式までが描かれる。
ドラゴンボールZ
1989年のアニメ作品。サイヤ人編からブウ編までが描かれる。昔のアニメあるあるで引き伸ばしが酷い。
ドラゴンボールGT
1996年のアニメ作品。原作終了後の、オリジナルストーリーが描かれる。
宇宙に散らばったドラゴンボール。ドラゴンボールに頼りすぎたツケ。超サイヤ人4。主題歌。最終回。
賛否両論あるけれど、上記の部分はけっこう好き。
ドラゴンボールGT 悟空外伝! 勇気の証しは四星球
「GT」の最終話から100年後が舞台のオリジナルストーリーが展開されるTVスペシャル。
悟空の子孫・悟空Jr.が主人公。
ドラゴンボール改
2009年のアニメ作品。ドラゴンボールZからアニオリを出来得る限り排除して、原作に忠実に再編集されたリマスター版。
ドラゴンボール超
2015年のアニメ作品。原作を鳥山明先生が手掛けた作品。原作のブウ編後からのストーリーで、ウーブと出会うまでの空白期間が描かれる。
超サイヤ人がカラフルになり、まさに超サイヤ人のバーゲンセール。
ドラゴンボールDAIMA
2024年のアニメ作品。原作を鳥山明先生が手掛けた作品。
原作のブウ編後からのストーリーとなり、ドラゴンボール超とは(おそらく)別世界線の話。
ベジータの超サイヤ人3、新デザインの超サイヤ人4とキャラクターデザインは良い。
「紹介している作品は、2022年1月時点の情報です。現在は配信終了している場合もありますので、最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。」
『劇場版 ドラゴンボール 神龍の伝説』
1986年に公開された『ドラゴンボール』の劇場版アニメ第1作目。
『劇場版 ドラゴンボール 魔神城のねむり姫』
1987年に公開された『ドラゴンボール』の劇場版アニメ第2作目。
『劇場版 ドラゴンボール 摩訶不思議大冒険』
1988年に公開された『ドラゴンボール』の劇場版アニメ第3作目。
『劇場版 ドラゴンボール 最強への道』
1996年に公開された『ドラゴンボール』の劇場版アニメ第4作目。
『劇場版 ドラゴンボールZ』
1989年に公開された『ドラゴンボールZ』の劇場版アニメ第1作目。
『劇場版 ドラゴンボールZ この世で一番強いヤツ』
1990年に公開された『ドラゴンボールZ』の劇場版アニメ第2作目。
『劇場版 ドラゴンボールZ 地球まるごと超決戦』
1990年に公開された『ドラゴンボールZ』の劇場版アニメ第3作目。
『劇場版 ドラゴンボールZ 超サイヤ人だ孫悟空』
1991年に公開された『ドラゴンボールZ』の劇場版アニメ第4作目。
『劇場版 ドラゴンボールZ とびっきりの最強対最強』
1991年に公開された『ドラゴンボールZ』の劇場版アニメ第5作目。
『劇場版 ドラゴンボールZ 激突!!100億パワーの戦士たち』
1992年に公開された『ドラゴンボールZ』の劇場版アニメ第6作目。
『劇場版 ドラゴンボールZ 極限バトル!!三大超サイヤ人』
1992年に公開された『ドラゴンボールZ』の劇場版アニメ第7作目。
『劇場版 ドラゴンボールZ 燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦』
1993年に公開された『ドラゴンボールZ』の劇場版アニメ第8作目。
『劇場版 ドラゴンボールZ 銀河ギリギリ!!ぶっちぎりの凄い奴』
1993年に公開された『ドラゴンボールZ』の劇場版アニメ第9作目。
『劇場版 ドラゴンボールZ 危険なふたり!超戦士はねむれない』
1994年に公開された『ドラゴンボールZ』の劇場版アニメ第10作目。
『劇場版 ドラゴンボールZ 超戦士撃破!!勝つのはオレだ』
1994年に公開された『ドラゴンボールZ』の劇場版アニメ第11作目。
『劇場版 ドラゴンボールZ 復活のフュージョン!!悟空とベジータ』
1995年に公開された『ドラゴンボールZ』の劇場版アニメ第12作目。
『劇場版 ドラゴンボールZ 龍拳爆発!!悟空がやらねば誰がやる』
1995年に公開された『ドラゴンボールZ』の劇場版アニメ第13作目。
『ドラゴンボールZ たったひとりの最終決戦 フリーザに挑んだZ戦士孫悟空の父』
1990年に放映された『ドラゴンボールZ』のテレビアニメスペシャル第1作目。
『ドラゴンボールZ 絶望への反抗!!残された超戦士 悟飯とトランクス』
1993年に放映された『ドラゴンボールZ』のテレビアニメスペシャル第2作目。
『ドラゴンボールGT 悟空外伝! 勇気の証しは四星球』
1997年に放映された『ドラゴンボールGT』のテレビアニメスペシャル第1作目。
『ドラゴンボールZ 神と神』
2013年に公開された『ドラゴンボールZ』の劇場版アニメ第14作目。
『ドラゴンボールZ 復活の「F」』
2015年に公開された『ドラゴンボールZ』の劇場版アニメ第15作目。
『ドラゴンボール超 ブロリー』
2018年に公開された『ドラゴンボール超』の劇場版アニメ第1作目。
『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』
2022年に公開された『ドラゴンボール超』の劇場版アニメ第2作目。
『ドラゴンボール 超サイヤ人絶滅計画』
1993年に発売されたファミコンソフト『ドラゴンボールZ外伝 サイヤ人絶滅計画』を原作としたOVA作品。
『ドラゴンボール エピソードオブバーダック』
『Vジャンプ』にて2011年8月号から10月号まで連載された漫画を原作としたアニメ作品。
「紹介している作品は、2022年1月時点の情報です。現在は配信終了している場合もありますので、最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。」



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