今日ご紹介する漫画は【ストーリー】
この記事では、『ストーリー』が 何を描き、どこに価値があるのか を明確にする。
さらに、作品を象徴する 三つの魅力を深掘り し、読後感を含めて
「読む前に押さえるべきポイント」を整理する。
短編だからこそ見落としがちなテーマの構造を、読みやすく整理した記事になる。
『ストーリー』ってどんな漫画?
『ストーリー』は、仕事 と 家族 を軸にした人生短編集である。
戸田誠二の代表的テーマである「生き方」「葛藤」「選択」が一冊に凝縮されており、とくに 働き方・親子関係・自己実現 の三つが強く浮き彫りになる構成となっている。
各話は短く、1話数ページで読める。しかし扱う題材は軽くない。
誰もが人生で一度はぶつかる問題を、静かだが鋭い切り口で描いている点が特徴である。
作品情報
| 作品名 | ストーリー |
| 作者 | 戸田誠二 |
| 巻数 | 全1巻 |
| ジャンル | 短編集/日常/人生/死 |
| 掲載誌 | 『Hiミステリー』2004年に掲載 2004年12月に宙出版から発行 |
『ストーリー』の魅力3点
魅力①:仕事と人生の境界を問い直す構造
『ストーリー』がまず突きつけるのは、仕事と人生の境界が曖昧になった現代の矛盾 である。
ブラック企業で心を消耗していく人物、家業を継ぐことを義務と感じてしまう兄弟、定年後の人生を想像できずに迷う夫婦。
いずれも「働くとは何か」という根本を揺さぶられる設定である。
本作の重要な点は、仕事そのものを否定していないところだ。
働くことは必要であり、社会との接点でもある。
しかし戸田誠二の描き方は、
仕事が 人生の中心を食い潰してしまう瞬間 を正確に捉えている。
たとえば、ブラック企業に勤める男性の話では、「皆がやっているから自分も辞められない」という思考の罠が淡々と描かれる。
過剰な同調圧力は日本社会で珍しくないが、本作はそれを感情過多にせず、読者が自分の環境を照らし合わせて考える余白を残す。
また、夢を叶えられなかった母が娘に「夢の継承」を求める話では、仕事=生活の手段であるはずが、親の未練の代行装置となってしまう危険を示す。
働く動機が本人の意思から離れた瞬間、人は簡単に追いつめられてしまう。
本作が優れているのは、解決策を示さない点である。
「こうすれば報われる」という物語構造にはしない。
代わりに、登場人物の選択の過程を丁寧に描くことで、働く読者に「自分の境界線はどこか」「何を守るべきか」を考えさせる。
結果として本作は、仕事に疲れた人が読むと胸に刺さるが、同時に「生き方を調整する余地はまだある」と感じさせる稀有な短編集である。
魅力②:家族という共同体の不完全さを描く精度
『ストーリー』の第二の核は 家族の不完全さ である。
本作では、家族は救いであると同時に、もっとも重いしがらみとして描かれる。
その二面性が、短編形式に非常に相性よく収まっている。
たとえば、姉の急逝をきっかけに家族と向き合う男性の話では、「家族だから理解しあえる」という幻想が静かに崩される。
姉の遺言、父の価値観、本人の進路。
どれも正しいが、どれも誰かを縛る。
戸田誠二の作品らしく、解決不能の構造が淡々と提示され、読者は自分の家庭と
つい重ねてしまう。
また、反抗期の子どもと向き合う父親の話では、親が抱えがちな「所有物としての子ども」という無自覚な錯覚を突く。
親は善意であっても、子どもの人生の細部にまで介入したがる。
しかし本作は、親子関係の本質は 対話 にあると静かに示す。
意見の衝突は避けられないが、その衝突を誤魔化したままでは、関係がどこかで破綻することを強調する。
夢を託される娘の話も象徴的である。
親の期待は愛情と混同されやすいが、本人にとっては重圧でしかない。
「子どもは親の人生の代役ではない」という本質的なメッセージが短いページに凝縮されている。
本作が優れているのは、家族を否定しないまま 距離の取り方 を提示する点だ。
依存しすぎても苦しく、離れすぎても孤独になる。
その最適距離が、登場人物の行動や台詞から浮かび上がる。
読者が自分の家族関係を客観的に捉え直す機会になる構成である。
魅力③:戸田誠二の「人生観」が最も濃く現れる短編集
『ストーリー』は、戸田誠二の人生観がもっとも純度高く表れた短編集である。
彼の作品は一貫して「人はどう生きるべきか」という問いを軸にしているが、本作ではそれが職場・家庭・社会の三層で立体的に描かれる。
特徴は、説教臭さを徹底して排除している点である。
物語には明確な教訓が書かれていない。
登場人物たちは迷い、誤り、決定し、また後悔する。
その不完全さこそが「生きる現実」であるという前提で物語が成立している。
戸田誠二が上手いのは、人生の残酷さを描きながら、読者に絶望を押しつけない点である。
ブラック企業で心を病む男の話も、親の期待を背負う娘の話も、淡々と描くことで読者が「どう生きるか」を自分で考える構造にしている。
とくに最後の話「It’s a gag life!!」では、人生の後半に差し掛かった夫婦の不安が描かれるが、そこで提示されるのは 人生に遅すぎる再出発は存在しない という静かな肯定である。
大きな成功を目指す必要もなく、ただ「今日の自分を生きること」が人生の軸になり得るというメッセージが響く。
本作は、疲れている大人ほど深く刺さる。
働き方、家族との距離、人生の再構築。
現実の課題をそのまま持ち込みながら、それでも前を向ける余地を残してくれる一冊である。
中の人の一言感想
【秀才】
幼いころの家庭環境のせいで、必要以上に生き方や感情を武装してしまった女性のお話。
漫画の旅人傍から見ててもこーゆー人は生きるのが大変そうだなと思う。
人生の1/3を過ごす職場で人望が無いのはきつい。
でも自分で蒔いた種だからしょうがないか。
こーゆー生き方をする人は常勝が義務付けられると思う。
だけど長い人生で常勝出来る人なんて限られている。
いや、いないかもしれない。
他人事にならないよう、心のアムドを解いて人に優しくしようと思った。
【上陸作戦】
夢を叶えられなかった母が二人の娘に夢を託すお話。



この一文だけだと感動話みたいなニュアンスになってるけど、実態は良くない方の話。
前作『しあわせ』の感想でも書いたけれど、子供は親の所有物ではない。
自分が夢を叶えられなかったのは残念だと思うけれど、それを子供にやらせるのはエゴだと思う。
子供も最初は分からず親の言うことに従うと思うけれど、年齢を重ねるにつれて自我が出てくる。
その時にちゃんと話し合ってほしい。
子供の人生は子供のものだし、もちろん親の人生は親のものだ。
コミュニケーションって大事。
【植物性の家】
自分のやりたいことを押し殺して、早くに亡くなってしまった姉を持つ男性のお話。



世襲制の家は大変。親の顔色をうかがって生きていく。
一つの生き方かもしれないけれど人生の終焉には後悔のないようにしたいと思った。
弟は最終的には自分の意思のようで、姉の遺言に縛られているように感じた。
父親にしても自分は親の仕事を継いだんだから子供も継げってのは違うと思う。
やっぱりコミュニケーションって大事。
【ストーリー】
ブラック企業に勤めて心を病んでいく男性のお話。



現代社会の闇。
皆がやっているから自分だけやめられない。悪循環。
仕事が目的になって生きている人もいる。そーゆー人がいるのも理解は出来る。
けれど仕事は生きるための手段であって目的ではない。
仕事に忙殺されてあげくに命まで断つなんて馬鹿らしいと思う。
どーせ会社の上司なんて部下1人亡くなってもなんとも思わないやつの方が多い気がする。
そんな奴のために頑張らないで自分のために生きてほしい。
そう思った。
【It’s a gag life!】
定年を迎えた夫がいる妻と転職をした娘の家族話。



最後はほっこりとしたストーリー。
自分の定年後の想像がつかないのだけれど、世の中の人はやることがないって感覚はマジか。
そこだけ聞くといかにつまらない人生を過ごしてきたのかと思ってしまう。
仕事に懸けた人生と言えば聞こえはいい。だけど人生って仕事だけじゃないだろうと思う。
今自分はやりたいことが多すぎてやれないものもある中生きています。
時間が惜しい。時間が欲しい。そう思った。
中の人のあとがき



『仕事』と『家族』をテーマに各キャラの人生を描いた短編集。
「仕事」と「人生」
ワークライフバランス。この言葉はおかしい。
「人生」が先にあってその中に「仕事」がある。
ライフワークバランス。
出口治明さんの言葉です。
こっちの言葉が当たり前の世の中になってほしい。
戸田先生の描く新たな人生のストーリー。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事が『ストーリー』に興味を持つきっかけになれば幸いです。
作品に興味を持った方は、こちらから電子版を確認してみてください。





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