今日ご紹介する漫画は『しあわせ』
この記事では、『しあわせ』がどのような短編集であり、どんな読者に刺さるのかがわかる構成になっている。
さらに、本作の魅力を3つの観点から整理し、何が“心に残る短編集”たる所以なのかを明確に理解できるようにまとめた。
読む前の判断材料として十分に役立つ内容である。
『しあわせ』ってどんな漫画?
『しあわせ』は、生と死を主題にした短編集。
日常の中に潜む不安、家族や友人との距離、社会の価値観との摩擦など、人が避けて通れない問題を静かに映し出す作品群で構成されている。
1話あたり1〜28ページの短い形式でありながら、読後に長く残る余韻が特徴だ。
戸田誠二の持ち味である冷静な観察眼と人間描写が凝縮された一冊。
作品情報
| 作品名 | しあわせ |
| 作者 | 戸田誠二 |
| 巻数 | 全1巻 |
| ジャンル | 短編集/日常/ファンタジー/人生/死 |
| 掲載誌 | 自身のウェブサイト『COMPLEX POOL』で公開。 2004年6月に宙出版から発行 |
『しあわせ』の魅力3点
魅力① 短いページ数で「人生の深層」に触れさせる構造
『しあわせ』の最も際立つ特徴は、極めて短いページ数の中に人生の本質を押し込めている点である。
通常、人生・死・孤独・家族という重いテーマを扱う場合、長いストーリーや丁寧な積み重ねが必要だと思われがちである。
しかし本作はそれとは逆のアプローチを取る。
1話1〜28ページという短さにもかかわらず、読後には「自分の中の痛い部分を触られた」ような感覚が残る。
その理由は、作者が物語を語る際に“説明”を切り捨て、状況・行動・象徴の3つで情緒を伝える方法を徹底しているためである。
たとえば「くらげ」のような作品では、死の概念をくらげの特性に重ねながら、1ページのみで読者自身に意味を引き受けさせる。
何かを押しつけるのではなく、「あなたはどう感じるか」を問う設計になっている。
また、登場人物の立場や価値観が極端に限定されているため、読者は一瞬でその人物の心情にシンクロさせられる。
心理描写を多用しない代わりに、象徴的な言葉や行動を配置し、感情の“核心”だけを抽出する描写が多い。
この凝縮感が、短さと深さを両立させる要因である。
この構造によって、読者は1話ごとに「人生観の再確認」を迫られる。
短編集ゆえの読みやすさを保ちながら、内容は極めて重く、濃い。
短編漫画の表現可能性を改めて感じさせる魅力がここにあると言える。
魅力② 多様なテーマが一本の軸(生と死)で貫かれる設計
『しあわせ』には、恋愛・家族・依存・喪失・価値観の摩擦・感情の脆さなど、まったく異なるテーマの短編が並んでいる。
しかしこれらは単なるバラバラの短編集ではない。
全編を通じて一本の太い軸として「生とは何か」「死とは何か」「その間にある“今日”をどう生きるべきか」という共通の問いが流れている。
この一貫性が、バラエティ豊かな内容にもかかわらず、一冊としての強いまとまりを生む。
読者は各短編を読み進めるたびに、視点や立場を変えながら同じテーマを別角度から見つめ直すことになる。
たとえば「NO SEX」は依存の形を描き、「とがげ」は価値観の世代差を描く。
どれも日常にあり得る感情の揺らぎを扱いながら、結局は“人はどう生きるか”という根源的な問いに着地する。
この仕組みが機能するのは、作者が一貫して“人間の弱さ”を肯定的に描くためである。
否定するのではなく、理解し、静かに寄り添う姿勢が作品全体を包んでいる。
そのため、重いテーマでも読者が拒絶感を抱かない。
むしろ「自分にも同じ弱さがある」と受け入れやすくなる構造である。
短編集はテーマが散らばりやすいが、『しあわせ』はむしろテーマの多様性が“人間そのものの多面性”を代弁している。これが、本作が読者の記憶に残る理由のひとつである。
魅力③ 読者の人生経験によって意味が変わる“可変式の読後感”
『しあわせ』は、読む人の年齢や人生経験によって受け取り方が大きく変わる作品である。
若い読者にとっては「自分の感情を代弁してくれる救いの言葉」として響き、年齢を重ねた読者には「昔の自分への手紙」や「後悔と和解の物語」として届く。
この可変性こそが本作の特別な価値である。
作品が説明を排し、余白を残す設計をとっているため、読者は無意識に“自分の記憶や感情”を埋め込みながら読むことになる。
他人の物語であるはずなのに、いつの間にか「自分の話」のように感じられる。
しかもその感覚は、人生のステージが変わるたびに変化する。
10代で読めば、孤独や焦燥の象徴として感じるかもしれない。
30代で読めば、愛や責任や後悔の象徴として重さが増す。
親になれば、「反抗ヘンカンキ」のような話にはまったく別の重みが出てくる。
この変化は、娯楽作品よりもむしろ文学作品に近い構造である。
短い漫画でありながら、一冊の中に“自分自身の成長と変化を映す鏡”が存在する。
読み返すたびに新しい意味が生まれる作品はそう多くない。
このように『しあわせ』は、読むたびに異なる輪郭を見せる可変式の読後感を持ち、読者の人生と共に変化し続ける稀有な短編集である。
その柔軟性こそ、大人にこそ読んでほしい理由である。
中の人の一言感想
【2056】
プロローグ。
自分自身のアイデンティティのお話。
人それぞれの事なんで好きにすればいいと思う。
第一章 apoptosis
【くらげ】
くらげは死ぬと完全に水に溶ける。
知らなかった。
人間も空気に溶ければいいのに。
【Red Ribbon】
姉と妹のお話。
妹目線でストーリーが進む。
よくわからなかった。
【アポトーシス】
アポトーシス。
自殺する細胞の名前。
細胞と人生をかけたお話。
女性は死んでないけれど生きていない人。
男性は生に悩む人。
人生を深く悩みすぎだと思う。
第二章 手さぐりで歩く
【とかげ】
昔の常識は今の常識ではないというお話。
親は子供の心配をする気持ちはわかるけれど、子供ももう大人になっている。
言われなくても苦しい想いは自分が一番わかっている。
お互い思いやりの気持ちを忘れないようにしたいですね。
【Happy Birthday】
年を重ねるにつれて誕生日がおろそかになってる気がする。
もちろん祝ってもらえるととても嬉しいけれど、難しい場合は自分で祝ってあげよう。
そう思った。
【NO SEX】
恋や愛とは違う依存の感情のお話。
異性の友達ってこんな感じ。
セックスを難しく考えすぎだと思う。
【幸せ】
相手に依存しすぎて依存することが出来なくなった女性のお話。
自分の欲求だけを押し付けちゃあ上手くいかないのは当然だと思う。
結果的にわかってくれそうな男性と付き合ったけれど、自分が変わらないと同じような結末になると思う。
そう思った。
第三章 Rules
【殺人計画】
サイコパスの男性のお話。
殺し方にこだわりがあり殺すために女性と付き合う。
怖っ。
【視線ごっこ】
ぬ~べ~っぽいお話。
ストレスや病は霊の仕業かも。
【四月の薬草】
惚れ薬。恋愛感情。プラシーボ効果。
それぞれ絡み合うと非常にめんどくさくなるお話。
第四章 浮かび上がる
【失恋】
失恋時の感情とブラックボール誕生時の宇宙の状況をかけたお話。
【けものみち】
友達だと思ってた。
自分より優れた友達に対する嫉妬心。
それをわかってて付き合う友達。
ちょっと悲しいお話。
【反抗ヘンカンキ】
反抗期の原因を突き止めエネルギーに変えようとした男性のお話。
子育って大変だなと思った。
子供は親の所有物ではない。
当たり前のことだけれどそれを忘れる親が多いのかもしれない。
親の理想を押し付けるのではなくて子供とちゃんとコミュニケーションをとる。
子供の考えてることや希望を知る。
それを出来る範囲でサポートしてあげる。
綺麗ごとだろうか?
まとめ
漫画の旅人前作の『生きるススメ』よりも『死』と『思春期』がより強い近いテーマと感じた。
『生きるススメ』よりも一タイトルのページ数が多い作品が多く、メッセージ性がより伝わりやすくなった印象。
前作に引き続き、生きることに悩んでいる人、ちょっと疲れた人、そんな人にぜひ読んでもらいたい一冊です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事が『しあわせ』に興味を持つきっかけになれば幸いです。
作品に興味を持った方は、こちらから電子版を確認してみてください。





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