月子『つるつるとザラザラの間』感想・考察｜爬虫類がつなぐ中学生の淡い恋と成長物語

『つるつるとザラザラの間』は、爬虫類が苦手な男子と、爬虫類を愛する女子の中学生ラブコメ。
一見すると“ニッチな趣味漫画”に見えるけど、実際は恋の初期衝動と、他人との境界を描いた青春ドラマ。

この記事では、爬虫類モチーフがどう恋愛にリンクしているのか、そして「つるつる」と「ザラザラ」が象徴する“心の距離感”をひも解きます。

『つるつるとザラザラの間』ってどんな漫画？

爬虫類が苦手な男子中学生・環（たまき）と、爬虫類が大好きな女子中学生・さや。

平凡な男子とめちゃカワの女子という、いわばお約束ともいえる設定。

一見、真逆の2人が、“トカゲをきっかけに心を通わせていく”物語。

タイトルにある「つるつる」と「ザラザラ」は、実はそれぞれのキャラクターを象徴する言葉。

• つるつる＝環：理屈っぽくて、感情をうまく出せない。
• ザラザラ＝さや：好奇心旺盛で、感情のままに動くタイプ。

肌触りの違う2人が、互いの“質感”を少しずつ理解していく――。
この「手触り」そのものが、恋愛というテーマに見事に重なっている。

『つるつるとザラザラの間』のおすすめポイント💡

・初々しい恋愛が見たい人
・爬虫類が好きな人
・現在のパートナーが初恋の人

作品情報

作品名	つるつるとザラザラの間
作者	月子
巻数	全4巻
ジャンル	ラブコメ/日常/爬虫類
掲載誌	good！アフタヌーン(2012年22号から2015年7号)

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恋の“初期衝動”をここまで丁寧に描いた漫画は珍しい

環とさやの恋は、告白もキスもない。
だけど、触れるか触れないかの距離感がたまらない。

さやがふと環に近づいた瞬間、彼の頬がわずかに赤くなる。
そんなワンシーンで、ページ全体が呼吸するように“温度”を帯びます。

いわゆる「恋愛漫画」よりも、思春期の感情の揺れそのものを描いた心理作品。

爬虫類＝異質なものを通して描く“他者理解”

爬虫類というモチーフは、
「自分とは違うものを理解したい」というメッセージの象徴。

環にとって爬虫類は“怖いもの”。
でもさやにとっては“可愛いもの”。

価値観の違いに戸惑いながらも、互いの“好き”を尊重しようとする姿が瑞々しい。

恋愛だけでなく、友情・共感・寛容といったテーマにも自然につながっています。

静けさの中にあるユーモアと温度

『つるつるとザラザラの間』の最大の特徴は、「間」で感情を伝える構成力。

無言の時間、少しずれた会話、ぎこちない笑顔。
その“空白”の積み重ねが、読者の心をくすぐります。

ギャグも淡々としていながら味わい深く、まるで実際の思春期をそのまま覗いているようなリアリティです。

印象的なセリフ

さや『そんなの。好きで見てたら…普通に気づくし…』
さや『私。200歳まで生きられたとしても。ずっと環くんと一緒にいたい』

ひ、ひ、ひ、ひゃーっっ！恥ずかしくなっちゃう。
こんな青春を過ごしたかったでぇ…

この“照れ臭さの美学”こそが月子作品の真骨頂。

まとめ

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