【おとりよせ王子飯田好実】“ひとり時間”を極めた男の幸福論──リアルで美味しいグルメ漫画

2019年7月19日2025年11月5日

『おとりよせ王子飯田好実』は、
忙しい現代人に“ひとりで味わう幸せ”を思い出させてくれる癒やし系グルメ漫画。

主人公・飯田好実（いいだよしみ）はシステムエンジニア。
連日残業に追われる生活の中で、唯一の楽しみは水曜夜のノー残業デー。

その日だけは全国各地からお取り寄せしたこだわりグルメを開封し、丁寧に味わう——それが、彼にとっての最高の贅沢。

物語は“飯田くんのひとり飯”を通して、働く人の孤独、幸福、そして「食べる」ことの尊さを描き出します。

この記事では、
① 飯田好実というキャラクターのリアリティ
② 「お取り寄せ」という文化の奥深さ
③ 食を通じて描かれる“静かな幸福”
この3つの視点から、『おとりよせ王子飯田好実』の魅力を掘り下げます。

『おとりよせ王子飯田好実』ってどんな漫画？

飯田の職業はシステムエンジニア。性格は几帳面でちょっと神経質。
派手な趣味も交友関係もない——けれど、彼には“誰にも言えない密かな楽しみ”がある。

それが「お取り寄せグルメの開封儀式」。

毎週水曜日の夜、届いた箱を開け、器を選び、ゆっくり盛りつけ、味わいながらひとり言をこぼす。
純粋な自己満足の時間。

でもそのひとときこそが、忙しい毎日を生きる社会人にとっての“心のリセットボタン”なのだ。

「一番人気じゃなくていい。自分だけの“特別”があれば、それでいい。」

飯田くんの食卓には、全国のリアルなお取り寄せ商品が実名で登場。
実在の企業・通販ページと連動しており、読んでそのまま注文できる“食漫画”としても楽しめます。

『おとりよせ王子飯田好実』のおすすめポイント💡

・リアルすぎる“お取り寄せ体験”
　登場する商品はすべて実在！
　作中のリンクから実際に取り寄せられるため、読むだけで「夜食欲」が刺激される。
・孤独をネガティブに描かない“ひとり時間の肯定”
　ひとりで食べる＝寂しい、ではなく、
　“自分のために丁寧に生きる”ことを美しく描いているのが最大の魅力。
・地味な日常を“幸福の物語”に変える構成力
　飯田くんは特別な人ではない。
　だけど、彼のように小さな幸せを大切にする姿に、読者自身が救われる。

作品情報

作品名	おとりよせ王子飯田好実
作者	高瀬志帆
巻数	全7巻
ジャンル	グルメ/日常/お取り寄せ/癒やし
掲載誌	月刊コミックゼノン(2011年2月号から2016年7月号)
ドラマ	2013年4月から7月

気になった方は、まず試し読みしてみてください👇
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① 飯田好実というキャラクターのリアリティ

連日残業続きのシステムエンジニアの飯田。
週に一度の密かな楽しみが「お取り寄せグルメ」を堪能すること。

社会人の方は飯田くんの気持ちに共感できるはず。

・付き合いで好みじゃないメシとか食いたくない
・人に合わせて興味ない話もしたくない
・オレはマイペースでいきたいだけ
『おとりよせ王子飯田好実 1巻』

また、彼の語り口も特徴的です。
職人気質で少し理屈っぽいけれど、どこかユーモアがある。
食べ物の背景にある文化や土地の物語を、淡々と語るその姿勢には、
“知的な食の探求者”としての誇りが感じられます。

飯田好実という人物は、「何かを頑張る自分」ではなく「今を丁寧に生きる自分」を肯定してくれる存在。
仕事に追われる人ほど、彼の静かな生き方に共感するはずです。

僕達は「働くために生きているのではない」「生きるために働いている」
仕事は真面目に取り組むけれど、仕事だけが人生ではない。
何かたった一つでも心の支えがあれば人生は楽しい。
飯田くんにとってはそれが「お取り寄せグルメ」

② 「お取り寄せ」という文化の奥深さ

『おとりよせ王子飯田好実』の最大の魅力のひとつが、“お取り寄せ”という文化の深堀りにあります。

かつては「地方の特産品を買う手段」だったお取り寄せは、いまや“自分のライフスタイルをデザインする行為”に変わりました。
飯田好実はまさにその象徴です。

彼にとって、お取り寄せは単なるグルメ趣味ではありません。
その背景にあるのは、「全国各地で誰かが真剣に作ったものを、自分の手元で味わう」という生産者との心の対話。
知らない誰かの“こだわり”に触れるたびに、
世界が少しだけ広がっていく——その感覚が、読む者にも伝わってきます。

しかも本作のすごいところは、登場する商品が実在する点。
作中のリンクから実際に注文できるため、読者も“飯田体験”を共有できる。
いわば、漫画の中の食文化と現実社会をつなぐ架け橋のような仕組みなのです。

また、飯田くんは決して高級品だけを選ぶわけではなく、地方の老舗やマイナーな逸品をこよなく愛する。
彼の選定眼には、“知る人ぞ知る名店”を発見する喜びがある。

そして何より、お取り寄せには“時間を待つ幸福”があります。
届くのを楽しみに、梱包を開け、封を切る瞬間。
それは、デジタルで瞬時に何でも手に入る現代では味わいにくい、ゆるやかな幸福。

飯田くんが描く「お取り寄せの儀式」は、単なる食レポではなく、“日常の中の小さな旅”を体験させてくれる文化描写なのです。

③ 食を通じて描かれる“静かな幸福”

『おとりよせ王子飯田好実』が他のグルメ漫画と一線を画すのは、“食を通じて人生そのものを見つめ直す静けさ”にあります。

多くのグルメ漫画は、食を共有する楽しさや人との絆を描きます。
本作では、当初主人公・飯田好実は一人飯を楽しんでいた。
誰と食べるでもなく、ただ自分のために料理を温め、器を選び、箸を持つまでの一連の時間を丁寧に過ごします。

その姿は、一見すると孤独にも見えますが、そこには「自分と向き合う幸福」があります。
他人の目を気にせず、誰にも評価されない時間を味わう——
それは現代人が最も失いがちな“内面的な充足”なのです。

基本的にはマイペースでいきたい飯田くん。
そんな飯田くんも食の楽しさ、素晴らしさは共感したい。
ツイッターで「お取り寄せグルメ」の感想を呟くうちに、飯田くんのツイッターがどんどん話題になっていく。
最終的には食を通じて人間関係も変わってきた飯田くん。
食だけではなく日常漫画としての側面もあります。
また飯田くんのツイッターアカウントは現実世界ともリンクしています。

飯田くんの実在のツイッターアカウントはこちら→https://x.com/otoriyose_ouji

飯田くんが行う「お取り寄せの儀式」は、日常の中の小さなリセット。
ストレスで乱れた感情を温かい料理が静かに整えてくれる。

また、作中で描かれる料理描写は派手さがなく、むしろ質素で現実的。
そこにあるのは“特別なごちそう”ではなく、“自分のための一食”を大切にするという生き方です。

食べるとは、生きること。
そして「どう食べるか」は、「どう生きたいか」に直結している。
本作はその普遍的なテーマを、派手な演出なしで淡々と描き切ります。

読後には、心が少し軽くなり、
「今夜は自分のために丁寧にご飯を食べよう」と思える。
それこそが、『おとりよせ王子飯田好実』が教えてくれる——
“静かな幸福”の形なのです。

個人的に気になったお取り寄せグルメのご紹介

現実世界の商品なので、気に入った商品は自分でもお取り寄せできます。
個人的に気に入ったのは以下の商品。

・但熊卵かけご飯セット
但熊様の公式販売ページはこちら。
https://www.eonet.ne.jp/~tankuma/
・遊喜庵キーマカレーうどん
遊喜庵様の公式販売ページはこちら。
https://www.osawaya.co.jp/fs/mizusawaudon/c/yukian
・缶つま
缶つま様の公式販売ページはこちら。
http://www.kantsuma.jp/lineup
・中津からあげ
中津からあげ様の公式販売ページはこちら。
https://morikara.net/items/
・井上誠耕園パスタソース
井上誠耕園様の公式販売ページはこちら。
https://www.inoueseikoen.co.jp/products/detail.php?product_id=1977
・金澤烏鶏庵烏骨鶏デニッシュパン
烏鶏庵様の公式販売ページはこちら。
https://www.ukokkei.co.jp/fs/ukeian/14
・若松屋つまみ揚げセット
若松屋様の公式販売ページはこちら。
https://www.wakamatsuya.co.jp/archives/6702
・昭ちゃんコロッケ
昭ちゃんコロッケ様の公式販売ページはこちら。
http://www.shouchan.com/order_korokke
・ビストロ三玄蟹味噌バター
ビストロ三玄様の公式販売ページはこちら。
https://www.migen.jp/shopping/kani.php