今回ご紹介する漫画は『これでおわりです。』(全1巻/小坂俊史)
この記事では、短編集 『これでおわりです。』 に収録されている全16編について、各話のあらすじを整理してまとめている。
本作は「日常の中にある最後」をテーマに、仕事、恋愛、人間関係、人生の区切りといった場面を1話完結で描いたオムニバス作品だ。
どの短編もページ数は少ないが、起承転結が非常に明確で、読み終えたあとに強く印象が残る構成になっている。
本記事では、感想や評価は切り離し、各話の内容を把握しやすい形であらすじのみを整理した。
作品全体の構成を俯瞰したい人、どんな話が収録されているか知りたい人のためのまとめ記事である。
『これでおわりです。』ってどんな漫画?
『これでおわりです。』は、『日常』の中で起きる、あらゆる『最後』をテーマにした短編集である。
最終回、最終日、最後の一本、最後の夏休み――人生の中で誰もが一度は直面する「区切り」の瞬間を切り取り、一話完結で描いていく構成だ。
扱われる題材は、恋愛、仕事、学生生活、家族、老い、挫折などごく日常的なものが中心で、派手な事件や大きな感動を狙う作品ではない。
しかし各話は必ず起承転結が明確で、読み進めるほどに「そう来るか」と思わされるオチが用意されている。
特徴的なのは、読後に強い余韻を残すにもかかわらず、説教や感傷に寄らない点である。
登場人物の選択が正しかったのかどうかは断定されず、読者に解釈を委ねる形で物語が閉じられる。
そのため、同じ話でも読む年齢や立場によって受け取り方が変わる。
また、短編という形式を最大限に活かし、
・一つのアイデアを無駄なく提示する
・引き延ばしを一切しない
・ラスト一コマで意味が反転する
といった構造が徹底されている。
タイトルの『これでおわりです。』は投げやりな終わりではなく、「終わるからこそ、物語になる」という姿勢を象徴する言葉だと言える。
短編漫画が好きな人、オチの効いた物語を求めている人、
そして「人生の区切り」を静かに見つめたい読者に向いた一冊である。
こんな人に読んでほしい
・『人生』の追体験をしたい人
・一つのストーリーを手軽に読みたい人
・オチで驚きたい人
『これでおわりです。』の各話あらすじ&感想
最後の一杯
希少な酒「石地蔵」の最後の一杯を巡る物語。
仕入れ方法が不明なため、店主は「最後の一杯を飲んだ者が次の一本を探しに行く」というルールを設ける。
誰もがその責任を恐れ、最後の一杯は手付かずのまま残されていた。
事情を知った一人の女性は、迷いながらも酒の魅力に抗えず、最後の一杯を飲み干す。
その選択の先に待つ結果とは何か。
漫画の旅人話のオチが素敵。
皆が皆、同じ思いを共感していた。
ババ抜きのジョーカー状態。
ひっそりと張った味の記憶がないという伏線も見事。
最後の客
美容師を辞める決意をした美鈴と、長年彼女を応援してきた友人・山辺の話。
山辺は引き止めるのではなく、美鈴の「最後の客」になることを選ぶ。
久しぶりのカットを受け、穏やかな時間を過ごす山辺だったが、帰り道で思いがけない光景を目にする。
その出来事が、二人の関係と「区切り」の意味を変えていく。



よく読むと実は怖い話。
1ページ目から伏線が張られている。
山辺の美鈴の登録名は『美鈴』
山辺には退職の連絡を一斉メールでの送信。
美鈴の山辺の登録名は『山辺さん』
見習いの頃から応援してきた、仲が良いと思っていたのは山辺の一方的な片思いで、美鈴からすると山辺はただの一客の一人という、残酷な演出だろうか。
と思いきや、山辺の最後のセリフで全てが繋がる。
そうだったのか!と思う、してやられた感。
わずか8ページながら情報と伏線が詰められている。
何度も読み直したくなる話。
最後の卒業生
過疎の離島「普現島」別名「ふべん島」で、たった一人の小学生として学校生活を送った朝木はるか。
友達もいないまま卒業の日を迎え、本土の中学校へ進学する。
島での生活は苦い記憶として残るが、時が経ち、その経験は就職活動で思わぬ形で役立つ。
やがてはるかは再び普現島へ赴任することになり、そこで一人の在校生と出会う。



最初は、はるかの被害者目線で話がすすんでいく。
『ふべん島』へ赴任後は、自分だけではなく当時の担任や校長も被害者だったと考える。
そして赴任は、島民全員でグルになった復讐劇と想像をふくらませるも全てはるかの勘違いだった。
はるかの成長が描かれていてほっこりする。
最後の名前
出席番号が常に最後になることに強いコンプレックスを抱く中学生・分目六郎(わんめろくろう)。
「ラストマン」と呼ばれる日常に嫌気がさした六郎は、名字を楽しんで生きる従姉・和歌子に反発心を募らせる。
彼女と同じ学校に転校することで状況を変えようとするが、新天地で待っていたのは想定外の出来事だった。



転校後の展開に笑った。環境を変えたにもかかわらず逃れられない運命。
さらに別のコンプレックスをこじらせる。
2段オチ。
最後の納品
受注先の営業男性から執拗に口説かれている四宮みゆき。
契約満了を理由に関係が終わるはずだったが、心に残る違和感から、彼女は自ら最後の納品を依頼する。
納品当日、男性は緊張しながら現場へ向かうが、そこで迎える結末は予想とは異なるものだった。



起承転結からのまさに『転』での激動。
この話は男性目線で読むか、四宮目線で読むかで印象が大きく変わる。
二人の目線で楽しんでほしい話。
男性目線で言うと四宮の名前を知っているが、四宮目線だと男性の名前すら知らない。
四宮にとっては『あの事務用品の人』
月に一度とはいえ4年も納品しておいてこの距離感。
伏線を見逃さなければラストの結果に納得。
最後のひとつ
仲良し三人組が、いつものファミレスで過ごす夜。
恒例のチーズいも餅を分け合う中で、安倍ちゃんの片思いが限界を迎える。
関係が崩れたかに思えた翌日、思わぬ形で再び集まることになる三人。
「最後」だと思っていた時間は、本当に終わったのか。



三人の関係性の始まりが気になる。
安倍ちゃんはいつ武井くんの事を好きになったのか。
作中の書き方だと武井くんは安倍ちゃんの気持ちに気づいていない。
舞衣ちゃんは安倍ちゃんの気持ちに気づいている。
そんな想像込みで最後は『そっちかよ!』ってなるオチ。
登場キャラは誰も悪くない。
最後の夏休み
大学卒業を前に、海外で大金を得た糸間かなえ。
内定を蹴り、「人生最後の夏休み」を延ばし続けた結果、7年が過ぎる。
資金が尽き、社会復帰を試みるかなえは、自身の空白期間と向き合うことになる。
そして彼女は、過去を否定するのではなく、別の形で活かす道を選ぶ。



人生の経験に無駄な事なんてないという教訓。
だけどそれに気付けるかどうかは、普段のアンテナの貼り方や懐の広さによると思う。
最後の一本
禁煙を決意した男性が、人生で何度目かの「最後の一本」を迎える。
喫煙室で出会った女性に、話の流れでその一本を譲ることになるが、その行動が彼の心に変化をもたらす。
火を消したはずのものは、本当に消えたのか。



またしても『そっちかよ!』オチ。
最後の営業日
閉店を迎えた老舗せんべい屋。
最後の客として現れた男性は、商品ではなく「店そのもの」を欲しいと告げる。
再生を条件にした提案に対し、店主は自分が守り続けてきたものと向き合うことになる。



最後のページで震えた。
「無能風有能」と「有能風無能のストーリー」
ぜひ読んで確認してほしい。
最後の一曲
アンコールを一度も経験しなかった元歌手の女性。
音楽を離れ、会社員として生きる中で、思いがけず再び音楽の世界に呼び戻される。
それは過去の延長ではなく、新しい形での再出発だった。



作中の女性のセリフ。
『余力なんて残すな。毎日全力を尽くさなきゃ必ず後悔する』
業種や職種を変えても全力を尽くすのは大事。
普段から全力を尽くしていれば、チャンスが来た時も全力でチャレンジできる。
最後の桜
桜の下で語り合う元恋人同士。
女性は自らの「最後」を静かに受け入れている。
女性『こうして桜の花を見れるのも今年が最後なのね』
女性『来年の今頃にはもう私はいないんだものね』
女性『娘が26でこんなことになるなんて。親も全然考えてなかったんだろーなー』
女性『親不孝だよね。でも仕方ないの。これは運命だから』
男性『彼女は…』



『そっちかよ!』からの『そっちかよ!』
恋愛中はこの恋は一生モノと思っていても、結果こんなモノという現実的なストーリー。
最後の大会
顧問不在、部員ゼロの卓球部で、たった一人大会に挑む上川のぞみ。
過去の経験を支えに戦う彼女を待つのは、敗北と、顧問からの予想外の言葉だった。



スポ根的展開からの1回戦敗退。
前振りからの敗北までのスピード感に草。
そしてラスト1ページで怒涛の展開。
ある意味『俺たちの戦いはこれからだ』的展開だった。
最後の打者
9回裏ツーアウト。ランナー無し。スコアは7-0。
敗戦濃厚の試合で、「最後の打者」になることを恐れる瀬戸くん。
一度は逃れるが、再び巡ってくる運命の打席。
逃げ続けた先に、真正面から向き合う瞬間が訪れる。



『MAJOR』みたいな展開。
だけど瀬戸くんはノゴローくんとは違って後ろ向きな態度。
何気なく高校野球を見ていたけど、自分でゲームセットになる試合って嫌だよなと思う。
国見『タイムアウトのない試合の面白さを教えてあげますよ』
こういうメンタルの持ち主が大成するんだろうな。
最後の列車
インフルエンザの先輩・戸村の代理で地方出張に来た川里。
へんぴな所なので電車も空いているだろうと思ったのも束の間。
東京のラッシュ時並の満員電車。
その正体は、廃線を惜しむ鉄道ファンたちだった。
戸村も鉄道ファンの一人だと疑われ、フォローできない川里。
だが戸村の目的は…



戸村のお土産で誤解は解けるも戸村の本心は違った。
川里も取引先の人も良い方に解釈してくれた。
戸村の目的はぜひ確認してほしい。
最後の走者
駅伝選手としてアンカーを務めた伊狩。
競技引退後、別の職場で責任ある立場に就くが、かつての監督が部下として現れる。
立場が逆転した二人の関係が描かれる。



最終走者。
これを言いたいがために作られたストーリーのような気がする。
人生をマラソンで例えた上手な話。
最後の回
ドラマ視聴を生きがいにしていた会社員・遠藤乃梨子。
入院をきっかけに、録画していた最終回をすべて見逃してしまう。
それを境に、彼女の生活習慣と価値観は静かに変化していく。



ドラマにハマっていた遠藤が、自分の人生の方がドラマだと気づいて修正するくだり。
自分の人生の主人公は自分。
よく言われることだけど、それでも人はドラマや漫画や小説で人生の疑似体験をしたくなる。
自分の人生で手一杯なんだから、ドラマ等でスッキリとした疑似人生を楽しみたい。
当たり前の欲求。
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中の人のあとがき



どの話も想像の斜め上を行くオチ。
非常に楽しませてもらいました。
起承転結をこれほど上手に体現している人は中々いないんじゃあないかと思う。
作者のあとがきに、これまで4コマ漫画しか書いた事がないとあり納得。
4コマ漫画こそ起承転結が上手くないと面白くない。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事が『これでおわりです。』に興味を持つきっかけになれば幸いです。





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