【ハルノクニ】SF政治漫画 評価と感想

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今回ご紹介する漫画は『ハルノクニ

この記事では『ハルノクニ』の「思想の強さ」「少年誌という媒体」「作画との相性」という三つのズレに注目し、作品そのものの価値と当時の環境が噛み合わなかった理由を読み解いていく。
本作が失敗作だったのか、それとも時代に早すぎただけだったのか。
その判断材料がわかる構成になっている。

目次

『ハルノクニ』ってどんな漫画?

『ハルノクニ』は、全寮制のエリート養成校・紫海館学園の陰謀と、それに対峙するハルとギリ「小さな国家」を描いた作品だ。
最大の特徴は、敵役が怪物や異世界の存在ではなく、日本の内閣総理大臣という明確な“現実の権力”である点にある。

物語の軸にあるのは、「国を守るとは何か」「正義は誰のためにあるのか」という問いだ。
登場人物たちは単純な善悪で描かれず、それぞれが信念を持って行動している。
主人公側も、敵側である総理大臣・榊も、自身の理想と覚悟を持ち、最後までその信念を曲げない。

そのため物語は勧善懲悪にはならず、思想と思想が真正面からぶつかり合う構造になっている。
少年漫画としては異例なほど、政治・国家・統治といったテーマが前面に出ており、読み手にも判断を委ねる作りだ。

一方で、掲載誌は少年サンデー。
絵柄や誌面の文脈は子ども向けでありながら、語られる内容は極めて大人向けという、強いギャップを抱えた作品でもある。
このズレこそが、『ハルノクニ』という漫画を理解するうえで欠かせない前提条件となっている。

作品名ハルノクニ
作者原作/浜中明
作画/中道裕大
巻数全4巻
ジャンルSF/ネコ/国/政治
掲載誌週刊少年サンデー(2006年2月から2006年11月)

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思想が先に立ちすぎたSF国家論『ハルノクニ』が評価されなかった理由

敵が「日本国家」であるという異質さ―少年漫画の皮を被った政治思想劇

『ハルノクニ』の最大の異質さは、敵が個人でも組織でもなく、日本国家そのものである点にある。
しかも象徴として立ちはだかるのは内閣総理大臣・榊。
この時点で、本作は一般的な少年漫画の文法から大きく逸脱している。

榊は単なる権力者でも、狂気に堕ちた独裁者でもない。
彼は明確な思想を持ち、日本を守るため、日本を強くするため、日本を変えるために行動している。
その動機は私欲とも言えるが、同時に国家観として一貫しており、読者は単純に「悪」と断じきれない。

重要なのは、主人公ギリがその榊の思想を真正面から否定しきれない点だ。
ギリは最後まで榊の信念を理解し、受け止めた上で、それでも別の道を選ぶ。
敵と味方が信念をぶつけ合い、どちらかが完全に折れることはない。
この構図は、少年漫画的には非常に珍しい。

テーマは一貫して「国とは何か」「守るとはどういうことか」
戦いは手段であり、焦点は常に思想にある。
その意味で本作は、バトル漫画というより思想を持ったSF政治劇に近い。

この構造は非常にわかりやすい。
だがそれは「少年向けに噛み砕かれている」という意味ではない。
むしろ、テーマそのものが重く、覚悟を要求する。
ここに『ハルノクニ』の強さと同時に、致命的なズレが生まれていた。

物語のスケールに作画が追いつかなかったという不幸

『ハルノクニ』が「惜しい作品」と語られる最大の理由は、ストーリーのスケールに対して作画が追いついていなかった点にある。

本作が描こうとしているのは、国家、政治、暴力、正義、統治。
抽象度が高く、概念的で、読者に思考を促すテーマばかりだ。
こうした物語では、作画の説得力が極めて重要になる。

仮にこの作品の作画を、より緻密で重厚な表現が得意な作家が担っていたら。
キャラクターの表情、間、空気感がもう一段階リアルに描けていたら。
物語の重みは、読者にまったく違う形で届いていたはずだ。

絵柄は決して下手ではないが、テーマに対して軽すぎる
結果として、読者は「何か凄いことを言っているが、絵の可愛らしさが気になる」という感覚を抱いてしまう。

加えて、掲載誌が少年サンデーであったことも影響は大きい。
サンデーの読者層、誌面の空気、求められるテンポや感情の起伏。
それらと『ハルノクニ』の語り口は、どうしても噛み合わなかった。

もし作画がより写実的で、思想の重さを視覚的に支えられていたら。
もし青年誌で、腰を据えて読まれる環境にあったら。
評価は間違いなく変わっていた。

作品のポテンシャルに対して、表現の器が小さすぎた。
それが『ハルノクニ』という漫画の、最も不幸な点である。

時代と媒体に殺されたSF政治漫画─それでも『ハルノクニ』は早すぎた

『ハルノクニ』が当時大きな支持を得られなかった理由は、物語そのものの弱さではない。
むしろ問題は、描いているテーマが少年誌の読者層と致命的にズレていたことにある。

敵は怪物でも異星人でもなく、日本国家そのもの、しかも内閣総理大臣である。
国家、主権、統治、正義、暴力の正当性。
作品が問いかけているのは「悪を倒す物語」ではなく、「国とは何か」「守るとはどういうことか」という、極めて政治的で抽象度の高い問題だ。

これは本来、青年誌か、あるいはもっと年齢層の高い読者に向けて語られる題材である。
少年誌に掲載されたことで、テーマの重さと絵柄・誌面の空気との間に、どうしても違和感が生まれてしまった。

さらに言えば、物語の理解には前提となる思考が多い。
善悪が単純に分かれず、敵にも信念があり、主人公側も常に正しいとは限らない。
榊というキャラクターが象徴的だが、彼は単なる悪役ではなく、「日本を強くしたい」という明確な理屈と覚悟を持っている。
その姿勢に一定の筋が通っているからこそ、ギリは最後まで彼の信念を完全には否定できなかった。

この構造は、非常に面白い。
だが同時に、少年誌的なカタルシスからは遠い

「悪いやつを倒して終わり」ではなく、「正しさと正しさが衝突した末に残るもの」を描こうとしたため、読後感はどうしても苦く、割り切れない。
それは欠点ではなく、この作品が狙った到達点そのものだ。

もし『ハルノクニ』が、今の時代に、今の表現環境で描かれていたら。
政治漫画や社会派フィクションが一定の評価を得られる現在であれば、受け取られ方はまったく違ったはずだ。
当時は「重すぎた」テーマが、今なら「鋭い」と評価される可能性は高い。

結果として、『ハルノクニ』は打ち切りという形で終わった。
だがそれは失敗作だったからではない。
時代と媒体が、作品に追いついていなかっただけだ。

だからこそ、この作品は今読み返す価値がある。
荒削りで、惜しくて、不器用だが、確かに野心がある。
『ハルノクニ』は、評価されなかったSF政治漫画ではなく、早すぎたSF政治漫画だったのだ。

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中の人のあとがき

漫画の旅人

敵が日本国家の内閣総理大臣。「国と政治」をテーマにしており少年誌っぽくない。
榊のキャラが濃すぎる。
自身の欲望でもあるのだけれど日本を守る。日本を強くする。日本を変えたい。
方法に難はあると思うがその姿勢は見事。
ギリは最後まで榊の信念を折れなかった。
敵・味方共にお互いの信念を真っ直ぐぶつけ合う。
少年誌っぽくとても分かりやすい。ジョジョの人間賛歌を根底に感じる事が出来る。

ストーリーに対して画力が追い付いていない。
小畑健先生が作画をつとめていたら『ヒカルの碁』や『DEATH NOTE』並みの傑作になっていただろう。
ちょうど同じ時期に連載していた『BLUE DRAGON ラルΩグラド』の作画じゃなくてハルノクニの作画をやればよかったのに。
作画の力は偉大だ。

・少年サンデーである事
・絵柄が子供向けな事
非常に惜しい作品。
今からでもリメイクや実写化してほしい。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事が『ハルノクニ』に興味を持つきっかけになれば幸いです。

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