『アルキメデスの大戦』は、数学×戦争という異色のテーマで描かれた知的スリラーです。
戦艦「大和」の建造をめぐる海軍内部の対立に、天才数学者・櫂直（かいただし）が挑みます。
彼が武器とするのは“数字”――計算によって暴かれる戦争の真実とは何か。
本作では、理想と現実の衝突、人間の信念、そして正しさとは何かを問いかけます。
この記事を読むと、
『アルキメデスの大戦』の物語構成や登場人物の魅力、そして“戦艦大和”誕生までの人間群像劇の深みがわかります。
数字の裏に隠された“戦争の真実”を、静かに見つめ直すきっかけになるでしょう。
『アルキメデスの大戦』ってどんな漫画？
舞台は1930年代の日本。帝国海軍では次世代の旗艦を決めるための「新型戦艦建造計画会議」が開かれていた。
戦艦建造を推進する“巨大主義派”の平山忠道と、それを阻止し航空兵力の充実を訴える“改革派”の山本五十六。
両者の激論の裏で、ひとりの青年・櫂直（かいただし）が海軍に招かれる。
彼は数学の天才。数字の力で「戦艦の建造費の不正」を暴くために、図面・資料・証言を徹底的に分析していく。
しかしその過程で、櫂は次第に“戦争そのものの構造”へと気づいていく――。
本作は単なる戦争ものではなく、「国家の理想」と「個人の信念」がぶつかる社会ドラマでもある。
戦艦を“戦争の象徴”として描きながらも、焦点は「人間の理性と欲望のせめぎ合い」にあるのです。
『アルキメデスの大戦』のおすすめポイント💡
・戦争を“数字”で描く知的スリラー
・理想と現実の間で揺れる“人間ドラマ”
・“戦艦大和”誕生までの人間群像劇
作品情報
| 作品名 | アルキメデスの大戦 |
| 作者 | 三田紀房 |
| 巻数 | 全38巻 |
| ジャンル | 歴史/数学/大和/戦艦/航空機/戦争 |
| 掲載誌 | 週刊ヤングマガジン(2015年52号から2023年31号) ヤンマガWeb(2023年7月6日〜9月21日) |
| 映画 | 2019年7月26日 |
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『アルキメデスの大戦』を読む
戦争を“数字”で描く知的スリラー
『アルキメデスの大戦』最大の特徴は、戦争を「数学」と「論理」で読み解くという新しい切り口。
戦艦の大きさや材料費、燃料消費量まで細かく計算し、数字の裏に潜む“人間の思惑”を暴いていく過程がスリリングです。
銃弾が飛び交う戦場ではなく、会議室と図面の中で戦う頭脳戦。
冷静な計算式の中にも、人間の感情と国家の狂気が交錯する――まさに知的なサスペンスドラマです。
数字は冷たいが、そこに映し出される人間は熱い。
櫂直が信じるのは、国家でも権力でもなく「真実」。
それを追い求める彼の姿は、どんな戦場よりも緊迫感があります。
理想と現実の間で揺れる“人間ドラマ”
本作は戦争漫画でありながら、“戦う相手”は敵国ではなく、同じ日本人同士。
正しいと思う理屈が、必ずしも正義ではないという現実。
改革派と保守派のぶつかり合いは、まるで現代社会そのものです。
（物語の終盤は外国との戦争もあります）
櫂直は理想を掲げ、合理的な未来を信じるが、彼の計算が導く結果が“戦争の悲劇”につながることもある。
どれだけ頭が良くても、人の心は数式で割り切れない。
その矛盾を真正面から描くことで、読者は「正しさとは何か？」を問われることになります。
“戦艦大和”誕生までの人間群像劇
『アルキメデスの大戦』の最終的な焦点は、アメリカとの戦争回避です。
そのための切り札として戦艦「大和」の誕生。
しかし、その過程で描かれるのは技術や戦術ではなく、信念と政治のせめぎ合い。
誰もが国家を思っている――だが、誰もが違う方向を向いている。
権力に屈しない者、信念を貫く者、理想を捨てて現実に従う者。
三田紀房先生の筆致はそれぞれの立場に誠実で、誰ひとり“悪人”として描かれません。
だからこそ、読者は「もし自分ならどちらの立場を選ぶだろう」と考えさせられるのです。
最後に待つのは、静かで残酷な真実。
理論が正しくても、世界は必ずしも合理では動かない――。
この作品は“勝者なき戦争”を描くことで、人間の本質を突きつけてきます。
まとめ
漫画の旅人戦艦の不正建造費を暴く数学者という発想が独創的で面白い。
戦艦だけではなく航空機も図面から作成したり、軍内の人間関係の立ち回りもうまい。
海軍内の島耕作である。
歴史書としての一面もあり、第二次世界大戦前の各国の様子が描かれる。
徐々に開戦に向かっているがどのような決着を迎えるのか？
目が離せない作品です。
一度大和を葬った櫂が大和を復活させようとする展開はシビレます
2019年7月26日。菅田将暉さん主演で映画も公開されます。
この記事が『アルキメデスの大戦』に興味を持つきっかけになれば幸いです。
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戦艦「大和」建造を巡る帝国海軍の裏側――。
国家の威信と、一人の天才数学者の“理想”がぶつかり合う。
『アルキメデスの大戦』は、戦争という巨大な権力構造の中で、
「数字の真実」を武器に立ち向かう青年・櫂直（かいただし）の信念を描いた歴史サスペンスです。
冷静な頭脳戦の裏で揺れ動く人間ドラマ。
そして、“戦争を止めるために戦う”という矛盾に満ちたテーマが胸を打ちます。
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